■『胃がん 手術後の生活読本』(著・佐野武、主婦と生活社)の再読。
 読んだか忘れてしまい、また読んでしまった。
 改めて読み直して、読み飛ばしていた箇所があり、発見があった。
 以前、読んだときは、右手先と肩が異常に痛くてその原因を探っていたときだったので、その項目ばかり探していたので仕方ない。
 さて、今回の発見は、手術直後の息苦しさについて、その理由が書かれていた。
 胃がんの手術は全身麻酔でおこなわれる。この際、気管内に管を入れて人工的に酸素や麻酔薬が肺に押し込まれる。
 胃がんの手術では、腹部の上の方に傷がつきやすく、胃全摘術では横隔膜付近にも手術操作が及ぶので、下腹部の手術に比べて呼吸への影響が強く出やすい。
 オレの手術の場合、食道の下部も切除したのでまさにこのパターンだった。
 だから、術後すぐに麻酔からおこされたときに、かみさんが「帰るね」といっていたのに苦しくて返事ができなかったんだとわかった。
 あのときの苦しさは、もうこのまま呼吸困難で死んでしまうのではと思うほど。もうそれならそれでと生きることをあきらめて眠りなおしてしまった。
 まあ、無事に目を覚ましたときは呼吸は多少は楽になってはいた。
 このような肺合併症を予防する目的で、術前に呼吸訓練が行われる場合がある、という。確かに笛のようなものを吹く練習をしろと言われた。
 が、医者はこうなることを全然詳しく教えてくれず、ただ、訓練しておいてほしいといわれ、いい加減におこなっていたことを思い出した。
 きちんと訓練をすればあのときもう少し苦しまずに済んだのだろうか。
(次回につづく)